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とある会社の『casica』の段階的使用法

~『casica』による成功体験/失敗体験/当事者意識の醸成

昨年もそうでしたが、6月になると『casica』の追加ご注文を頂きます。

(ご愛顧、有難うございます)

恐らく、新入社員が配属され、上司から指示を受ける中で、

2冊目に突入したということだと解釈しています。

 

さて、私は定期的にお客様の元にお伺いして、実際使用した『casica』を拝見しています。

すると、様々な創意工夫を目にして、開発者として学ぶことが多々ございます。

 

今回は、ご購入頂いたある会社の人事から聞いたお話をご紹介します。

 

 上司からの指示を記入する欄に、5W3Hのチェックボックスを設けています。

 使用者(新入社員)が、上司の指示で聞き漏れていることは無いのか、チェックするためです。

 (例えば、上司の指示を聞いて、チェックボックスを見て、

  「備品の購入について、予算を聞いていないな」というように)

 

その会社では、次のようなルールを上司に伝えています。

➀1冊目はチェックリストの中で全て網羅するように指示をする

 

➁2冊目から3冊目は、あえて多少の抜け漏れがある指示をする

 その場で質問がなければ、改めて詳細を伝える

 

➂4冊目から5冊目は、➁と同じようにするが、

 質問がなければ、こちらから詳細を伝えずに、任せてみる

 その後、経過を観察して、仕事の途中や相談や報告時にフィードバックする

 

➃6冊目から7冊目は、ざっくりと指示をする

 質問があっても「自分で考えて、判断して」と言うそうです。

 

どうでしょうか?

この話を聞いた時に非常に巧いなと感心しました。

この話のポイントは3つあると思います。

 

1つ目は、「成功体験の獲得(所作の定着)」です。

 ➀と➁であえて丁寧に指示をすることで、「仕事を完遂できた」という成功体験を獲得させ、

 かつ指示をどのように受けて、考えればよいか?という仕事の所作が定着します。

 

2つ目は、「適度な失敗体験」です。

 その人事曰く、➂の段階で多くの社員が仕事を完遂出来なかったり、期待値を上回れなかったりするそうです。

 ここで「まだまだだな、、」と失敗体験ができます(しかも比較的立ち直れるレベルで)。

 

3つ目は、「当事者意識の獲得」です。

 ➃の中で初めて仕事を本当の意味で任され、自ら考えることで、

 自身の責任感や当事者意識を醸成するように仕向けています。

 

『casica』の目的は、

“メモすること”ではなく“仕事を完遂するための意識やスキルを獲得すること”です。

上記のような関わりをすることで、その目的は一層達成できるのではないでしょうか?

    

松本 宜大